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2025年02月4日
胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん、Thoracic Outlet Syndrome: TOS)は、首と胸の間を通る神経や血管が圧迫されることで起こる様々な症状の総称です。具体的には、腕神経叢(わんしんけいそう)と鎖骨下動脈・静脈が、首の付け根から腕にかけての狭い空間(胸郭出口)で、骨や筋肉などによって圧迫・牽引されることで症状が現れます。
胸郭出口とは?
胸郭出口とは、首と胸の間にある、腕に向かう神経や血管が通るトンネルのような場所です。具体的には、以下の構造物によって囲まれた空間を指します。
- 前斜角筋と中斜角筋の間
- 鎖骨と第一肋骨の間
これらの場所で神経や血管が圧迫を受けると、様々な症状が現れます。
原因
胸郭出口症候群の正確な原因は特定できない場合も多いですが、以下のような要因が関与していると考えられています。
- 骨格の異常: 頚肋(首の骨)、第一肋骨の変形など
- 姿勢: 猫背、なで肩など
- 筋肉の発達: 斜角筋の発達、過緊張など
- 外傷: 鎖骨骨折、むち打ち損傷など
- 反復運動: 長時間の腕上げ作業、スポーツなど
症状
胸郭出口症候群の症状は、神経の圧迫によるものと血管の圧迫によるものに分けられます。
-
神経の圧迫による症状(神経性TOS):
- 腕、肩、首の痛み
- しびれ、感覚の低下(特に小指側)
- 腕のだるさ、脱力感
- 握力の低下
- 手の筋肉の萎縮(進行した場合)
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血管の圧迫による症状(血管性TOS):
- 動脈の圧迫: 腕の冷え、蒼白、脈拍の減弱
- 静脈の圧迫: 腕の腫れ、むくみ、皮膚の青紫色への変色
これらの症状は、腕を上げる動作や特定の姿勢で悪化することがあります。
診断
胸郭出口症候群の診断は、問診、身体診察、画像検査などに基づいて行われます。
- 問診: 症状、発症状況、既往歴などを詳しく聞かれます。
- 身体診察: 特定の動作や姿勢で症状が誘発されるかを確認するテスト(アドソンテスト、ルーステストなど)を行います。
- 画像検査: レントゲン、MRI、CTなどで骨格の異常や血管の状態を確認します。神経伝導速度検査で神経の機能を評価することもあります。
治療
胸郭出口症候群の治療は、保存療法が基本となります。
- 保存療法:
- 理学療法: ストレッチ、筋力トレーニング、姿勢矯正など
- 薬物療法: 鎮痛剤、筋弛緩剤、ビタミン剤など
- 装具療法: 首や肩を固定する装具の使用
- 生活習慣の改善: 長時間同じ姿勢を避ける、適度な運動など
保存療法で改善しない場合は、手術が検討されることもあります。
日常生活での注意点
- 長時間同じ姿勢を避ける
- 重い荷物を持ちすぎない
- 適度な運動を心がける
- 猫背などの悪い姿勢を改善する
もし、腕や肩の痛み、しびれなどの症状が続く場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
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